こういうスリルなら、どれだけだって味わってもいい。
男っていう生き物はどうがんばっても、学習できない部分がある。
例えば、こうやって机の下でイチャイチャシェイキングとか。
いつバレるかわからないのに、止められない衝動。
新井は随分経ってから戻ってきた。まるで俺達に仲直りさせるために席を外していた
ようなタイミングで戻ってきたから、見透かされてるような気分にもなったが、所詮新井
の事だ、何にも気づいてないんだろう。
現に今もアホ面満開で俺達のことを心配そうに眺めているのだから。
「長かったな。大丈夫か?」
「電話ですか?兄ちゃんでした。ちゃんと上手くやってるか心配で電話してきてくれたんです」
「・・・・・・新井の兄ちゃんは何モンだよ」
「兄ちゃんですか、普通のサラリーマンっす」
どこまで過保護に出来てるんだろう。俺は未知の人物を想像して溜息が出た。
そんな会話を続けながらも、机の下では吉沢さんの掌を握って、俺の頭の中は大忙しに
なっている。
さっさと切り上げて吉沢さんのマンションに直行したい。大人に向かってgo to bed!
だけど、新井はだらだらと会話を続けて、俺の気持ちなんてさっぱり無視。そんな空気を
さっぱり読めないのが新井のいいところというか、新井らしいところなんだけどさ。まあ、
読んで欲しいわけじゃない。こいつにバレるなんて120%あってはならないことなんだけど、
やっぱり早く帰りたい気持ちには間違いない。
それは吉沢さんも一緒なはず。だって、絡ませた指の動きに合わせて吉沢さんが時々
小刻みに揺れるんだ。
何週間ぶりかに漸く仲直りできたんだから一刻も早く恋人気分を味わいたい。こんな
手を繋いでいるだけじゃなくて、もっと全身で吉沢さんを感じたいっ!!
「・・・・・・・・・って、深海先輩、聞いてます?」
「は?」
脳内で暴走していたら、新井の言葉なんて全く聞いていなかったらしい。
「は?じゃないっすよ!本当に、もう大丈夫なんですかね?って聞いたんっす」
「何が?」
「何がって!先輩と課長の喧嘩」
「喧嘩って、喧嘩なんて最初からしてないって」
「え?そうなんですか?」
新井がぽかんと口を開けて俺と吉沢さんを見る。
「お前の為に、喧嘩なんかするか!なーにが、『けんかをやめて〜』っだ」
「そこまでは言ってません」
「歌ってただろ」
「あれは、兄ちゃんが歌ってたからうつっただけです」
「あ、そ」
「本当に喧嘩してないんですか?」
新井は疑り深い目で俺達を見る。なんだよ、お前の所為で喧嘩でもして欲しかったのか?
「・・・・・・言い合いにはなったけど、新井のこととは関係ないし、お前は気にするな。深海
がただちょっと馬鹿なことしただけで、新井とは関係ないから。仕事上のトラブルは付き物だ」
吉沢さんのフォローで新井も渋々納得したようだ。
「だったら、いいんすけど・・・。俺、自分の所為で先輩達が喧嘩して、拗れて、どっちかが
会社辞めるような事になったらとか考えちゃって、生きた心地しなかったっす」
どうして、新井の思考はそうやって突き抜けられるんだ。会社辞めるほどの喧嘩に見えたのか、
あれが!
新井ってホントに馬鹿だよなあ。左手でビールジョッキを煽りながら、右手は相変わらず
吉沢さんの掌をくるくるとなぞって遊ぶ。
時々くすぐったそうに逃げ出そうとするから、吉沢さんの左手をそれよりも強い力で握り
締めた。
指の隙間をソロリ、舐めあげるように辿れば吉沢さんの耳がピクリと反応する。面白がって
続けると、耳の後ろがほんのり赤くなった。
新井は、機関銃のように次々と会話を続ける。脈絡のない会話が続いて、こいつは女か、
と思わず突っ込みたくなった。
「・・・・・・で、吉沢課長は週末とかどうしてらっしゃるんですか」
「まあ、普通・・・・・・っ!に・・・」
新井はこっちの事情なんて知る由もなく、吉沢さんと暢気に話してる。吉沢さんも新井の
相手はしているものの、机の下の攻防に気を取られて、曖昧な相槌が多くなっていた。
「・・・・・・?」
俺の指が吉沢さんの小指の淵を辿ると、太ももがぴくん、と揺れた。言葉に詰まって、新井
が首をかしげる。
「あうっ」
「ん?」
「・・・・・・いや、なんも」
直後に吉沢さんに足を踏まれて、顔を歪ませる俺にもう一度新井が首を傾げた。
「お前はすぐ調子に乗る!」
「だって漸く仲直りできたから、嬉しくて、つい・・・・・・」
店を出て、新井と別れると吉沢さんは俺の肩を殴りながら文句を垂れていた。
「大体、新井に気づかれたらどうするんだ」
「大丈夫です。アイツ馬鹿ですから」
「そう言う問題じゃない」
「我慢できなかったんです」
人気のない道に入ると、俺は吉沢さんの台詞なんて無視して腰に手を回した。
「深海!」
「誰も見てないから、ね?」
「ね、じゃない、ね!じゃっ」
もう、吉沢さんの減らず口!
「ずっと、吉沢さんに触れたかったんです」
腰を抱き寄せて、更に密着度を上げる。耳元に口を寄せて囁くと、途端に吉沢さんの身体
の力が抜けた。
「離せって。こんなところじゃ・・・・・・人が・・・来るだろ」
耳元に軽くキス。それからこめかみとうなじにも。軽く吸って音を立てると、吉沢さんが
くねった。
「やめっ・・・」
「声出す方が、気づかれますって」
「ふか・・・みっ」
暗闇の中で、吉沢さんの潤んだ瞳が妖しく動く。見上げられて、堪らなくなって思わず
唇にもキス。
びりっという刺激が身体を駆け巡る。キスってこんなに興奮するんだっけ?
「んんっ」
右手を吉沢さんの左手に絡ませてると、吉沢さんがその手を強く握ってきた。触れ合った
ところからお互いの体温が、お互いに流れ出してぼうっと熱くなる。
軽く触れ合っただけの唇はいつの間にか、お互いをまさぐるように深く、深く求めていた。
「はうっ」
僅かに唇を離すと、アルコールの息がお互いを酔わせていくようだ。
「・・・・・・今すぐしたい」
「できるわけないだろ」
「あそこに、公園ありますよ?」
「でも」
「家まで我慢できないっす」
淡白でも、一日一発でも長いこと溜めておけばそれなりに欲はある。中途半端に触れて、
「おあずけ」なんて冗談じゃない。
それに吉沢さんも満更じゃないみたいだし。密着した腰に明らかに突起したブツが当たっ
てる。俺も吉沢さんも心の中じゃその気だ。
吉沢さんの羞恥心を捨てさせるために、吉沢さんに腰を擦り付けて猛アピール。餌待ちの
犬みたいに多分俺、ヨダレ垂らしてるんだ。
「盛りスギ」
「欲情したオス犬は誰にも止められませんから!」
手を引いて、俺は公園まで急いだ。
街灯の下を避けて桜の木の下に吉沢さんを連れ込むと、木に持たれかけさせて、再びキス。
吉沢さんも覚悟を決めているのか、抵抗せずに俺に口を開く。
「吉沢さん、ホントにすんませんでした・・・・・・でも、浮気なんてしてないし、他のヤツ
なんて、触れたくもない」
「もう、いいよ・・・わかったから・・・」
「吉沢さん、すげえ好き」
チープな囁きだって、今の俺達には燃えるエネルギー。身体がぽっと火照りあがって、唇
の隙間から、声が漏れた。
熱くなった頬に手を当てて、吸い付くようなキス。吉沢さんの舌が俺の口の中を遠慮なく
かき回す。俺はそれを勝手にO.K.サインだと取って、吉沢さんの股間に手を伸ばした。
「んんっ」
「もう硬くなってる・・・」
「そういうこと・・・・・・言うな」
「吉沢さん、いやらしい」
スーツの上からなで上げただけで、それは一層強度を増した。
「はぁんっ」
「熱くなってますよ、ココ」
ジッパーを下ろす音が静まり返った公園に響く。下着の中に手を潜り込ませると、熱くそそり
立ったペニスが手の中に入ってきた。
「や、あっ・・・」
「吉沢さんだって、盛ってる」
「うるさいっ・・・ああっ」
「そんな、声出すとばれますって」
「んんっ」
始めは軽く、そして強弱をつけて擦ると、吉沢さんの口から甘い声がダダ漏れになる。
もう、あんなひどい喧嘩してたなんて嘘みたいだ。まるで昨日もしてたかのような、この
タイミングと呼吸。全然忘れてなんかいない。吉沢さんの好きなところや、感じるところ。
ただ、漸く取り返したっていう感動が、いつも以上に脳内を刺激する。喧嘩の後の「仲直り
エッチ」が燃えるって言うのは、散々身をもって知ったけど、こんなにも中学生みたいに
盛ったのは初めてだ。
相当覚悟してたし、捨てられるって本気でビクビクしてたし、あの馬鹿の新井にまで嫉妬
するくらいだったから。
「誰のモンにもならんでくださいよ・・・」
地面に膝を着いてジッパーの中からコンニチハしてる吉沢さんのペニスをぱくりと食いつく。
「ああっ」
口に含むと、吉沢さんはやっぱり声を上げた。
背もたれにしてる桜の木にしがみついて、時々膝を揺らしながら俺の施しを気持ちよさそう
に受け取っている。
強く吸い上げれば、俺の髪の毛をかき乱して必死にしがみつく。その姿に会社の上司なんて
言う面影はない。ただの俺の恋人。
「気持ちいい?」
「ん・・・」
「入れていい?」
「っ!?ここで・・・?」
「だって、我慢できないって言ったデショ?」
「でもっ」
躊躇う吉沢さんを強引に後ろに向かせて、ベルトをはずしてズボンも下着も下ろしてやった。
こんな間抜けな姿、誰にも見られたくないだろうなあ。俺はじっくり見ちゃうけどね。
むき出しになった吉沢さんの尻を撫で回してその肌に密着した。自分の股間を吉沢さん
に擦り付けてアピールすると、吉沢さんがくすぐったそうに身体を捩った。
「やっ、深海・・・・・・」
「ねえ、入れさせて。吉沢さんのココ、感じさせて」
鞄に忍ばせた「緊急非常用セット」(数々の困難を乗り越えて(?)学習した俺は、未だに
中学生みたいにこんなものを持ち歩いているわけだが、やっぱり役に立ってしまった)を
取り出して、その中にある小瓶の中身を掌に広げる。
中からはどろっとした液体が出てきて、そのぬるぬるの手で吉沢さんの秘部を弄った。
「吉沢さん、力抜いてよ・・・・・・入らないって」
「んんっ、だって・・・」
仕方なく反対の手でペニスを擦ると、身体の緊張が一気に抜けた。その隙につるりと指を
食い込ませる。
「はああっ」
「久しぶりだから、やっぱりきついね」
「ふかみっ・・・」
立ってられないのか、何度か桜の木に膝を打ち付けて、よろける度俺はペニスから手を
離して、吉沢さんの腰を支えた。
「気持ちいいです・・・」
「深海、やっぱり・・・・・・こんなところじゃ・・・」
「ダメです。もう発射体勢です!」
「馬鹿っ・・・・・・ああっ」
きつく締まったソコを広げようと、中をぐちゃぐちゃと抜き差し。吉沢さんは桜の木に
半分以上、身体を預けている。
もう一本指を増やすと、締め付けがきつくなる。指の圧迫を押し返すように中で何度も
ぐるぐるとかき混ぜた。
「はあっ」
「ココ、いいトコですね」
「ううんっ」
卑猥な音を立ててジェルが吉沢さんの太ももを伝って落ちていく。
俺もついに我慢できなくなって、自分のジッパーに手をかけた。
はじけるように飛び出してきた俺の息子サン。元気一杯パンパンにはちきれそうになって
収まる場所を探してるようだ。
ぐちょりと音を立てて指を抜く。吉沢さんの甘い声が漏れた。
「すぐ入れたい」
「お前は・・・さっきから、そればっかり・・・」
「盛りを思い出したんです」
残りのジェルを自分のペニスに塗りたくって、さて行きますか!
メリメリと音がしそうなほどソコが開いて俺のペニスを飲み込んでいく。
「ああ・・・ああっ」
「んっ気持ちいいっ・・・」
ゆっくり、ゆっくり、今まで離れていた分を埋めるように、じっくりと腰を進める。久しぶり
の感覚に、じゅわっと体中の血液が沸騰するようだ。
こんなの、他の誰かになんて絶対渡すもんか。吉沢さんのこんなイイトコ、新井になんて
絶対教えない。俺だけの吉沢さん。
奥まで到達すると、今度は倍のスピードで腰を引く。
「はぅ」
更に、その倍のスピードで奥に詰める。腰を支えていないと、吉沢さんは倒れてしまいそう
になっていた。
「吉沢さんっ・・・も・・・気持ちいい・・・ですか?」
「はあんっ・・・そんなこと言わせんなって・・・」
擦れ合う部分からぐちゃぐちゃと音がする。肌がぶつかって、しんとした闇夜に似つかわしく
ない卑猥な音が木霊する。
だけど、走り出した欲はこんなところで止まる事なんて出来るはずもなく、大きなストローク
を描いて吉沢さんの中を駆け巡った。
「ああっ、ああっ」
吉沢さんの中が一層熱くなって、締め付けられる。ダメだって、それやると、俺直ぐだからっ!
「あっ、やべっ」
早漏?ああ、なんとでも言ってくれ!
久しぶりのセックスに野外というシチュエーションも手伝って、嘗てないほどの速さで
俺は果てようとしてる。
でも、もう出したいんだよ!家に帰ったら、今日はがんばってもう一回するから、イカセテ!
「ごめん、もうイくっ」
桜の木にもたれ掛かって、息を整える。その隣に吉沢さんも同じようにぐったりして
息を整えていた。
「お前・・・さ・・・」
「はい?」
「本当に、もう浮気してない?」
「してないっすよ!」
「・・・・・・うん。信じる」
「え?」
「何か、濃い」
吉沢さんが照れ隠しみたいな顔で笑った。
汗で張り付いた髪を救い上げて、コメカミに軽く唇を押し当てた。
この人が、恋人でよかった。
「帰ったら続きしましょう」
「もう、無理!」
「今の俺と吉沢さんなら、絶対出来ると思います!」
振り返って手を伸ばすと、その手を軽く叩かれて吉沢さんが歩き出す。
「帰るぞ!」
「あ、待ってくださいよ」
やっと平和な日々が戻ってきた。・・・・・・問題はまだ何にも解決してないような気もしたけど。
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