なかったことにしてください  memo  work  clap
きょうの料理


 レシピ11:ドルチェ・ドルチェ・ドルチェ―後編 



「大丈夫?」
再びジェルを垂らされ、誠史はなめらかな手つきで綾真の腰や尻を撫でた。
密着していると、違和感に慣れてくる。圧迫されている下腹部は永遠に快楽にはつながら
ないと思えるほど苦しいのに、身体の奥から別の熱が生まれてくるみたいなのだ。
「ああっ……」
息を吐こうとしただけなのに、綾真は声が上がってしまった。慌てて口を塞ぐのを、誠史
は優しく止めた。
「綾真、可愛いなあ」
「はっ……うう……可愛いい、とか……やめてっ……」
「曲げないね、君」
誠史はそう言うとゆっくりと腰を引く。
「!!」
「動く、よ……」
誠史も呼吸が粗い。無茶苦茶にしてしまいたい欲求を押しとどめて、呼吸を繰り返しながら
ゆっくりと動く。腰を引いて綾真の中から抜け出してしまう寸前で、逆方向に進行を変えた。
「ああああっ!」
ジェルを巻き込みながら、誠史のペニスが再び綾真の中へと消えていく。じゅぶじゅぶと
卑猥な音を立てて根元まで埋めると、一息置いて腰を引いた。
ゆっくりとした動きなのに、受ける刺激が強すぎて、綾真は今度こそ正気を失くすのでは
ないかと思った。
「誠史さん……誠史、さんっ……」
バスタブを爪で引っかきながら綾真はもがく。誠史はスピードを上げた。半分まで抜くと
スピードを緩めずに綾真の中に打ち込む。ぴちゃっとジェルのはねる音が響いた。
「ああっ……まって……まっ……」
誠史は綾真の声を無視して、腰を動かした。
「あっ……うっ……はっ……」
杭が打ち込まれるたび、綾真は小さい悲鳴をあげて苦しそうにもがいた。誠史は綾真のペニス
に手を伸ばし、パンパンに張り詰めているそれにも刺激を与えた。
「ああっ、やっ……」
きゅうっと身体が締まり、誠史が低く唸った。
「綾真、力抜いて。食いちぎられちゃう」
「そんなこと、言ったって……!!」
自分では制御できそうにない。涙を浮かべて後ろを振り返ると、蒸気した顔の誠史と目が
合った。お互い吸い寄せられるように顔を寄せ、キスを貪った。
「んんっ」
誠史は綾真の舌を吸い込み、自分の口の中で自分の舌と絡ませた。キスするのがこんなにも
気持ちいいと思ったことがないほど、身体の緊張がとけていく。
唇を離すと、誠史は本格的に腰を動かし始めた。誠史の掠れる呼吸が身体をしびれさす。
腰の動きに合わせて、綾真のペニスもこすられると、あっという間に上り詰めて、綾真は
耳鳴りのする頭を振った。
「あっ、あっ……やだ、や……なに、これっ」
「いきたいならイっていいよ」
「でも!!」
「俺も、もたないから。一緒にイく?」
綾真は返事をせずに、小さく頷いた。誠史は一度綾真のペニスから手を離すと、綾真の手
を引っ張って、自ら握らせる。
「自分のタイミングでいっていいよ。俺も、合わせる」
恥ずかしい格好をさせられていることも、追い詰められた綾真はよくわかっていなかった。
全ての感覚が麻痺して、ただそこに到達したい、解放されたいと身体の中が疼いて仕方が
ない。綾真は自分の手で扱きながら上り詰めていく感覚を思い出した。
「……もう、出そう……」
誠史は綾真の姿を見てうっとりとしながら、自分も解放へと向かった。
「俺も、出したい。綾真の中に……」
「!!」
身体の中で誠史のペニスが質量を増した。一層の圧迫感とともに、波が押し寄せてくる。
「あっ、あっ……!」
「いいよ!」
誠史の声に、綾真は緊張を手放した。
「誠史さん!イっ……!!」
「ううっ……綾真」
綾真のペニスから勢いよく白濁液が飛び出して、床を汚す。耳元で唸り声が聞こえ、誠史
の動きが止まった。自分の中でドクドクと脈打つのがわかる。一緒に果てた幸福感が押し
寄せてくると、綾真は身体が震えた。
「痛っ……綾真、締めすぎ」
誠史が苦笑いで呟いた。
「あ、ごめんなさ……」
綾真が俯くと、自分の吐き出した精液が目に飛び込んでくる。急に恥ずかしさが湧き上がっ
てきて、綾真は益々身体を強ばらせた。
「待って、待って!乙女チックになるのはいいけど、力抜いて?」
誠史は耳元に唇を寄せ、耳朶をぺろりと舐めた。
「んんっ」
身体の力が緩んだ隙に、誠史は外へと腰を引いた。
「!!」
自分の内蔵までずるずると引きずり出されるようで、一気に力が抜ける。
「大丈夫?!」
崩れ落ちる前に誠史に支えられて、綾真は誠史にしがみついた。
「力、入らないです」
「ごめんね。初めてなのに無茶させて」
「ほ、ホントですよ!!」
綾真は頬を染めながら誠史を睨みあげた。誠史はにまにま笑いながら、綾真の額に汗で張り
付いた髪の毛をとってやった。
「思いの外よかったからさ。でも、綾真にも充分素質あるよ」
「そんな褒め言葉うれしくないですっ」
顔を真っ赤にして視線を逸らすと、頬にちゅっと音を立てて誠史がキスをした。
「ベトベトだね。シャワー浴びて、もう一回お風呂入ろ?」
「……そうですね」
綾真が照れくさそうに笑うと、誠史も優しく笑い返した。
誠史がシャワーに手を伸ばす。熱いお湯がバスルームの中を湯気で満たしていく。
曇り鏡の向こうに幸せそうな恋人たちの声が響いていた。





いつもと天井が違う。ぼんやり、誠史のマンションに泊まったんだと思ってふっと横を向く
とそこに誠史の姿はなかった。
ベッドから起き上がると、身体中に違和感があった。筋肉痛よりも鈍痛な疼きに似た感覚
で、身体が重かった。
昨夜、眠りについたのはいつだったんだろう。時間の概念がとっぱらわれてしまった濃密
な一夜を明かし、今も何時なのかさっぱりわからない。寝室の窓から差してくる光が辛う
じて朝であることを示していた。
綾真はベッドルームから身体を引きずるようにしてリビングへと向かった。
「おはよ」
「……おはようございます」
リビングの扉を開けると、誠史がソファで新聞を広げていた。誠史はすぐに綾真に気づき
新聞を畳んで綾真を手招きする。
綾真が吸い寄せられるように誠史の隣に座ると、誠史は綾真の身体に腕を回した。
「身体、大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないです」
「じゃあ今日はゆっくりしてよう。バイトは?」
「夕方からです。……俺も、コーヒーもらっていいですか?」
「キッチンにまだ少し残ってたかな」
綾真は猫のようにするりと誠史の中から抜けると、キッチンに向かった。
「あ。ついでに何か食べます?」
「いいね。頼むよ」
綾真がキッチンで朝食の準備を始めると、誠史はその姿を楽しそうに見つめた。
誠史の視線を感じて綾真が顔をあげる。
「そんなに凝視されると、作りづらいですって」
「はいはい」
誠史は適当に返事をしてソファに深く座りなおす。相変わらず視線はこっちにあるが、綾真
は文句を言わなかった。
綾真はけだるい身体を押して、手早く支度を済ますと、朝食をダイニングテーブルに並べた。
ソファまで誠史を呼に行く。
「ごはんできましたよ」
「うん」
声をかけると、手を引かれて綾真は誠史の中に抱きしめられた。
「誠史さん?」
「ちょっとだけ」
「……」
綾真も甘い空気に流されて、誠史の身体に腕を回す。天頂にキスをされて、くすぐったそう
に身体を揺らした。誠史は綾真の髪の毛を撫でると、ふふっと笑ってもう一度キスをする。
「何笑ってるんです?」
「……」
「……誠史さん?」
「もう、部屋に呼び寄せたり、抱きしめたり、キスたりすることに一々面倒な理由をつけ
なくてもいいんだなあって思ったら、感慨深くなるね」
「そんなこと考えてたんですか」
「当たり前でしょ?これでも15歳も年下の君を口説くことに良心の呵責とか心の葛藤とか
色々あったんだからね?」
「……そんなことで悩むような人じゃないと思ってました」
「失礼な。俺をなんだと思ってんの」
「だって、俺、掌でいいように転がされてたじゃないですか」
「だって、いい年したオッサンがうじうじ悩んでたら引くでしょうが」
当たり前のように上から視線で言うので、綾真はそうですねと素直に頷いたあとで、妙に
くすぐったい気分になって、笑い出した。
誠史は悔しそうな顔を瞬間浮かべたが、自嘲して流した。手に入ってしまえば何とでも言え
と言わんばかりだ。
「さ、ごはん食べよ。さっきからお腹空いてたんだ」
誠史は綾真の手を引いて立ち上がる。綾真は新しく淹れたコーヒーを取りにキッチンへ向かう
と、後ろで誠史が呟いた。
「今日のごはん何?」
子どもみたいな問いかけに綾真は笑って振り返る。
「冷蔵庫に残ってた野菜を適当に暖めて作ったサラダとオムレツとトーストです」
「上等」
綾真は淹れ直したコーヒーを食卓に並べ、席に着いた。
「いただきます」
誠史が手を合わせて挨拶をする。今日も明日もずっと先もこの偏食家に「今日のごはん何?」
と聞いてもらえる関係だといいな、綾真はそう思って
「どうぞ」
と返事をした。






今日のレシピ
聖なる夜のドルチェミスト


材料(1夜分)
クリスマスイブ……1回
高森綾真……1人(愛情たっぷり)
新村誠史……1人(性欲たっぷり)

作り方
1.野菜嫌いの偏食常連客にアツアツトマトサラダを
出します
2.更にナスも克服させてみせます。
3.パスタで胃袋をがっちり掴みます。
4.肉じゃがキムチでハートを鷲掴みにします。
5.モチモチおつまみで二人の距離を縮めます。
6.アイスクレープで骨抜きにします。
7.お粥で弱った胃と心を優しく癒します。
8.新作鍋で別の一面もみせておきましょう。
9.炊き込みご飯で最後の追い込みをします。
10.アルコールで酔っ払ったら準備完了。
(ここまでは前日までに済ませておきます)
11.二人をかき混ぜたらできあがりv

誠史メモ
これなら俺にも出来るなあ
(恥ずかしいこと書かないでください!!・綾真)




2013/02/6

お読みくださり、ありがとうございました。
料理BL、大好きなのでとても楽しくかけました。
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