なかったことにしてください  memo  work  clap

物欲の天使さま




ぎゅっと瞑った後でゆっくりと目を開くと、てろりと自分のペニスを舐め上げる壱琉の姿
が飛び込んできた。
夢ではない。現実の壱琉が自分の股間に顔を埋めている。壱琉は赤い舌をちろちろと出し
ながら巽樹を見ていた。
「壱琉……」
巽樹のペニスは一気に硬度を増した。妄想の中で何度も乱れさせた壱琉が目の前にある。
それだけでも眩暈がしそうなほど狂おしいのに、その壱琉が積極的に自分のペニスを舐め
上げていると思うと今すぐにでも果ててしまいそうだった。
「……いきなりマッスクじゃん」
口を離して壱琉が皮肉ると
「壱琉が溜まってたように俺だって溜まってたの」
と笑って見せた。
「……そうだよなあ。俺がいたら巽樹だって女連れ込めないもんな……」
壱琉はすまなそうな表情を浮かべる。巽樹は壱琉の髪を掬い頬を手で撫でて、ペチと頬を
叩いた。
「そう思うなら一杯してくれる?」
「女みたいにプニプニしてないけど、それでもよければお前を満足させられると思うよ」
好戦的に壱琉が笑うと、巽樹も雄の匂いを隠すことなく色っぽい声で言った。
「壱琉のテク、たっぷり見せて」
壱琉は返事をする代わりに、巽樹のペニスに小さく音を立てて吸い付いた。



「うぐぅ……」
壱琉の舌で散々弄ばれて巽樹は声を漏らした。本人も豪語するだけあって、壱琉の舌は巽樹
が今まで味わった中で一番気持ちよかった。
勿論、巽樹が壱琉のことを他の誰よりも欲していたからというのもあるだろうけれど、自分
のペニスにこんなに淫らにむしゃぶりついているという視覚からの刺激もプラスされて、巽樹
は、早くも蕩けてしまいそうだった。
「壱琉……もうちょっとゆっくり……」
壱琉は割れ目から溢れた蜜を舌の先で遊びながら慎重に口を離す。壱琉の舌と巽樹のペニス
に細い透明な橋が架かった。
ポタリ。巽樹の腿の上に落ちると、壱琉はわざとらしく舌なめずりをして巽樹を見上げた。
「気持ちよかった?」
「危うく早漏男の称号を手にするとこだった」
「あはは。俺がやるとみんなそういう反応するから、気にするなって」
にっこり微笑む顔は、天使の様に綺麗でそして淫乱だった。
巽樹は壱琉の向こう側にいる見えない男達に嫉妬した。手に入れたくても出来なかった間
壱琉をこんな風に仕立て上げたかと思うと、壱琉を抱いたヤツを片っ端から消去してしまい
たくなる。子どもじみた我がままだけど、壱琉のことになると了見が狭くなってしまう。
「壱琉のもしてあげる」
「無理すんなって。俺は慣れてるからいいけど、萎えても知らんよ」
「大丈夫。だって壱琉のココ、して欲しそうにヒクヒクしてる」
「ちょ…巽樹にそういう事言われると、凄い恥ずかしいんだけど……!」
急に身体を隠そうとする壱琉を力技で押し倒して、巽樹はじっくりと壱琉のペニスを眺めた。
「先走り、垂れそう」
「言うなっつーの!!」
頬を赤くして壱琉が睨む。その姿に胸をきゅんとさせて巽樹は壱琉のペニスに近づいた。
舌先でちろちろと蜜を掬い、壱琉がしてくれたようにゆっくりと口の中へ納めた。
「はぅっ……」
身体を震わせて壱琉が反応する。巽樹が今まで経験したセックスとは何もかも違うけれど
萎えるどころか益々興奮度は上がった。
口の中で舌を絡ませながら頭を上下に振ると、壱琉が巽樹の髪の毛を鷲づかみにした。
「ああっ」
壱琉の反応が素直で可愛くて、巽樹は更にきつく吸い上げる。内腿がピクリと反応して
壱琉は声を上げた。
「うぅ……あぁっ…たっ、巽樹ぃ……」
甘ったるい壱琉の声に巽樹の面の皮も蕩けそうだった。友達なんて言い訳が剥がれ落ちて
ただ壱琉を欲している。
巽樹は壱琉のペニスに手を添えて、口と手で刺激を与えた。
「あぁ…」
「気持ちいい?」
顔を上げて聞くと、壱琉は目を閉じたまま、うんと頷く。ペニスを伝って垂れた唾液と
壱琉の密で掌はベタベタになった。
巽樹はその手で根元を優しく擦り、更に下へと指を進める。
袋の周りを指でなぞり張りのある皮膚を押すと、壱琉はやっぱり甘い声を上げた。
「あっ…ふっ…」
巽樹は小さな卵形に顔を近づけ、それを含んで口の中で転がした。
壱琉はくすぐったそうに腰を揺らした。
「巽樹ぃ……」
おねだりするような声色で壱琉が名を読んでいる。巽樹は壱琉のペニスの先っぽから溢れ
出している水滴を人差し指で掬いとると、ひくついている蕾の周りに円を描いた。
「あんっ」
サカナが跳ねた様に腰をくねらせる。巽樹は壱琉の腿を持ち上げ、よく見える状態にして
もう一度指を滑らせた。
「壱琉のココに飲み込まれそう」
「……余裕で食ってやる、よっ」
「壱琉の先走りじゃ潤滑油が足りないかな……」
壱琉が部屋にオイルがあると言うのと同時に、巽樹が舐めていい?と聞いた。
「え?」
「だから、壱琉のココ、舐めてもいい?」
「……巽樹ってチャレンジャー……」
「こう見えても攻めの姿勢で生きてるからね」
そうじゃなければベンチャー企業の社長なんてやってられないとでも言いたげな表情だ。
意外と好戦的なセックスをする巽樹に壱琉もテンションが上がった。
淫らになっても恥ずかしさは薄れていき、それよりもその先の快楽を求めた。
「巽樹焦らすなよ」
「煽られるなあ、その顔」
巽樹は舌舐りをして壱琉を見下ろすと、小さな蕾に舌を這わした。
「ああっ…んっ」
舌先を尖らせて円を描く。ゆっくりと中心に向かって行き、最後にはぺろんと一気に舐めて
やった。壱琉の秘部はピクピクと呼吸する様に動き、何かを飲み込みたくて疼いている様
にも見えた。
巽樹は舌で刺激を与えながら、同時に指を孔の入口に引っ掛けた。
「欲しがってるよ、ココ」
「だか、らっ……焦らすなって…あっ!」
「ほら、もう入っちゃう」
「あぁっ……」
人差し指が第二関節まで一気に入ると、小さく呻きながら壱琉の身体は丸まった。巽樹が
壱琉の中で指を曲げる。今度はバネみたいに大きく弾けて、猫みたいだと巽樹は笑った。
しばらく中を引っかき回して楽しんだあと、巽樹はもう一本指を孔に宛てがった。
「余裕だね」
「巽樹の、チンコ咥えなきゃいけないのに……うぅっ……指2本ごときで……無理とか、あっ
言うわけないじゃん」
「おっとこまえ〜」
巽樹の指に反応して身体をよじりながらも減らず口を叩くのが愛おしくて、巽樹は乱暴に
指を動かし始めた。
狭い壱琉の中を巽樹の指が蠢いていく。壁を辿って壱琉の気持ちいい場所を探った。内側を
押される度ヒクヒクと腰を動かしていた壱琉が、あるポイントになると短く声を上げた。
「あぁっ!!」
「みーつけた。……へえ、ここなんだ」
「感心すんな、あっ…あぁっん…」
巽樹がくりくりと指でマッサージしていると、壱琉のペニスがそれに合わせて跳ねた。
暴れる壱琉のペニスに手を添えて、内側と一緒のタイミングで擦ってみる。壱琉はぎゅっと
目を閉じて苦しそうに言った。
「巽樹っ……おま、俺のこと、あっ……手だけで、イかせようとしてる、だろ…んんっ」
「だってこんなにパツンパツンだから、我慢できないかなあって思って。一回出しておいた
方がいいんじゃない?それとも、一緒にイク?……壱琉がもったらの話だけど」
「んんっ…巽樹、男初めての癖に…はぁっ……言ってくれるじゃん」
実際は快楽に溺れる壱琉の顔に当てられて、巽樹も余裕はなかった。今すぐに挿入して
無茶苦茶になるまで壱琉を攻め立てたい。自分のペニスだって壱琉と同じくらいパンパン
になって弾けそうだった。
巽樹はそれを悟られないように、壱琉を快楽へ落とす事だけに集中しようと両手を動かした。
指をピストン運動させると秘部からクチュっといやらしい音が聞こえて、ペニスに添えた
手に力が入る。さっきよりも早く動かすと、壱琉は諦めて快楽に従った。
「駄目っ……巽樹ぃ……」
「いいよ、イっても」
「ノンケの男にイカされるなんて……あぁっ……悔しいっ……ああ!」
シーツを掴んでいた壱琉の手にも力が入った。頂点へ向かって駆け登っていく様に、顔が
その刺激を拒んでいない。壱琉の中の指は鍵型に曲げて一点をぐりぐり押す。ペニスを握った
手は、先っぽを軽く持ち、早く動かした。
壱琉の頬が蒸気して赤くなっている。煽るような視線に巽樹自信も我慢出来なくなるが
寸前のところで堪えた。
「うん。でもいいよ、ほら、イきなよ」
「ああっ、出るっ……!」
壱琉が叫んだ後、壱琉のペニスからは白濁液が弧を描くように飛び出し、壱琉の内腿へと
垂れた。
「はぁっ…はぁっ……くそぅっ……やられた」
「なんで悔しがるかなあ…別にいいじゃん。気持ちよければ」
「ゲイの沽券に関わるんだ!……あんっ!」
勢い良く指を抜くと、壱琉が高い声を上げた。巽樹がしたり顔で見れば壱琉は舌打ちした。
まだ息が整わないうちに壱琉は起き上がって、自分の放った精液を手で掬い取る。
どうするのか黙ってみていると、その手で巽樹のペニスに触ってきた。
ヌルっとした感触でペニスが擦られる。亀頭までヌルヌルにされて、最後はおまけみたい
にぎゅうっと潰された。
「壱琉っ…痛いって」
「お返し!」
息を吹き返したように、壱琉はニヤっと笑った。
「休まず二発目?」
「……やられっぱなしじゃ格好悪い」
そう言うと、壱琉は巽樹の肩に手を置いて力を入れた。壱琉よりも大きな身体だが、不意を
つかれて、巽樹はあっさりとベッドに沈んだ。
壱琉は巽樹を跨いで腿の上に座ると、露になった巽樹の乳首に手を伸ばした。
壱琉が弾くと巽樹はぴくっと身体を震わせる。
「止めて〜。サブイボ出る!」
「それが段々気持ちよくなるんだって」
「俺、扱かれるならそっちよりこっちの方がいいな」
巽樹が精液でテラテラに光っているペニスを指さすと、壱琉はふふんと偉そうに巽樹を
見下ろした。
「俺のテクで瞬殺してやろうか」
「ちょっと格好いいとこ、残しておいてよ?」
壱琉は舌舐りして巽樹の乳首に吸い付くと、身体を前進させた。巽樹のペニスが内股に
擦られながら通過して蕾のところで止まった。
「うっ…」
巽樹が唸る。少しの刺激でももう余り持たないかもしれないと巽樹は予感した。壱琉は
身体を起こし、自分の双璧を手で開く。
繋がる瞬間の顔を、巽樹はただドキドキして見ていた。
長年想い続けた相手が目の前で身体を開いている。悩まし気な表情も今の壱琉には似合う。
怒った顔、笑った顔、友人に見せる表情とは違う艶かしい壱琉。
黙っていれば天使みたいだと、その綺麗な出で立ちから巽樹は常日頃から思っていたけれど
こんな表情を見せる天使は、何て言ったらいいのだろう。
綺麗なものが快楽に落ちていく。自分の手で汚していくような錯覚すらした。
壱琉が大きく息を吐きながらゆっくりと腰を下ろしていった。めりめりと音でもするような
気がして、巽樹は埋まっていく自分のペニスを見た。
息を吐ききると、完全に巽樹のペニスは壱琉に包まれた。それから眉を顰めたまま、2、3度
浅い呼吸を繰り返し、再び巽樹を見下ろして言った。
「どう、よ?」
紅潮した頬に思わず手を伸ばして、巽樹は素直に感想を吐いた。
「やばいなあ……出そうになった」
「ここでいったら伝説として語り継がれるな」
「それは勘弁してください……!!」
巽樹が言い終わらない内に、壱琉は自分の腰を上げた。巽樹のペニスがドロドロになって
現れる。カリの部分まで引き上げると、後は重力に任せてストンと元に戻った。
「あぁっ」
「うっ!」
再び腰を上げて、下ろす。巽樹のペニスが突き刺さる度、壱琉のふにゃふにゃになっていた
ペニスにも硬度が戻ってきて、巽樹が手を伸ばしたときには、カチカチになっていた。
「元気だね」
「巽樹と違って若いし」
「同い年でしょ。3歳のときからずっと一緒に同じ年くってるって」
そう。物心ついたときには一緒にいた。好きでも手に入れることは出来なくて、歯がゆい
想いをしてきた。
誰よりも壱琉を見てきたし、知っているし、誰よりも壱琉を愛している。
自分の上で腰を振っている壱琉が愛おしくて、苦しい。巽樹は我慢の限界が来た。
「ごめん、やっぱり無理!」
巽樹は無理矢理壱琉の動きを止めて起き上がった。動揺して壱琉が覗き込んでくる。
「え?……何?」
「俺、こっちの方がいい」
巽樹は壱琉の身体をベッドに埋めると、自分の腰を振り始めた。



『愛してる』の言葉が喉まで出掛かって、これ以上激しく揺さぶると、飛び出してしまう
気がした。





――>>next




よろしければ、ご感想お聞かせ下さい

レス不要



  top > work > 短編 > 物欲の天使さま5
nakattakotonishitekudasai ©2006-2010 kaoruko    since2006/09/13