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きょうの料理


 レシピ11:ドルチェ・ドルチェ・ドルチェ―中編 



誠史の舌が口の中をうごめいている。息継ぎもままならないほどいっぱいにされて、綾真
はまた苦しくなった。しがみつく腕をさすられ、その手が胸元のボタンへと流れていく。
当然この流れは自分の中で予想していたし、覚悟も決めてきたはずだけれど、いざ組み敷
かれてみると、自分でも制御しがたい震えが来た。
「また緊張してる?」
「……別の緊張が……」
「初めての女の子の気持ちがわかる、みたいな?」
「なっ……」
「不安と期待でいっぱいですって顔」
からかわれて綾真は誠史を睨んだ。
「あ、当たり前じゃないですか!」
男に身体を預けるなんて人生23年考えたこともなかったことだ。男としてのプライドだって
あるのに、それを押さえ込んでまで受け入れてもいいと思った相手だから、こうして身体
を預けているのだ。
綾真が機嫌を損ねてしまう前に、誠史は耳に軽くキスをして謝った。
「ごめんね。無理なことをさせようとしてる」
「でも、止めてくださいって言っても止めないでしょ?」
「綾真君が泣いて喚いてどうしても止めてくださいって土下座したら考える」
「止めなくていいです……それに、別に嫌なわけじゃないから……」
恥ずかしそうに呟くと、誠史が苦笑いした。
「堪んないなあ……君にデレられると耐性がないから、我慢効かないかも」
誠史はシャツのボタンに手を掛けて、今度は躊躇わず外していった。下着の間から覗く
肌色に吸い込まれるようにして誠史が口を付ける。鎖骨を強く吸われて、綾真はピクリと
身体を揺らした。
「あっ……」
思わず出した自分の声に綾真はびっくりして口を抑えた。
「いいよ、声出して。どうせもっと出ることするんだから」
「んんっ……」
シャツの隙間から手を差し入れ、誠史は直接綾真の肌の感触を味わった。脇腹を撫で、胸の
突起物に手が当たると、ビクっと綾真は身体を震わせる。誠史は柔らかい先っぽをコロコロ
と手で転がした。
「あっ……あぁ!!」
刺激を受けて綾真の乳首が硬くなると同時に、抑えていた口からも声がこぼれた。綾真は
もじもじと身体をよじらせるが、誠史は構うことなく突起物を刺激した。綾真の乳首はすぐ
に固くなって、ぷくっと膨れていた。誠史は下着を捲りあげて露わにすると、小さな粒を
口に含んだ。
「あっん!!」
舌の先で啄かれ、思いっきり吸われる。ちゅぱっと音を立てて離れると誠史と目が合った。
自分でも顔が熱くなるのが分かる。
「可愛いってもう一回言ってもいい?」
「かっ、勝手にしてください」
「じゃあそうする」
誠史は可愛いと耳元で囁きながら、耳朶や首筋にキスを降らした。誠史は綾真のシャツを
脱がせ上半身を裸にすると、更にキスを増やした。
脇腹に舌を這わせて、綾真の乳首へと右手を伸ばす。指先でつまめるほど乳首は固くなって
いて、軽く引っ張ると綾真がのけぞった。
「やっ……やめっ……」
誠史の唇は脇腹からへその方へと流れる。感覚が敏感になっていくのか綾真の反応が大きく
なった。へその下を舐めると綾真はたまらず声を上げた。その声に気をよくした誠史は
ズボンの上から綾真の股間を触った。
「はぅっ……」
堪らず綾真は誠史の肩を掴んだ。身体中に力が篭もり内腿がピンと張り詰める。誠史は
固くなった筋肉を解すために背中に左手を滑り込ませ優しく撫でた。腰に手を回し、脇腹を
ゆるゆるとさすりながら、右手でもう一度股間の上に手を置く。さっきより硬くなった
のを確認して、誠史はズボンのベルトを緩めた。
「あっ…あの……」
ジッパーの下がる音が生々しく部屋に響いて、綾真は焦った。慌てる様子の綾真を無視
して誠史は一気にズボンを脱がしにかかる。身体が強張っている所為か抵抗も上手く出来
ないうちに、誠史は綾真を下着一枚にしてしまった。
反射的に身体を丸め、綾真は自分の股間を押さえた。スーツのジャケットを脱いだだけの
誠史とは対照的な姿に綾真はますます恥ずかしくなる。生け捕られた獲物みたいな気分で
ソファの上で小さくなった。
綾真の姿を見下ろしながら誠史は自分のネクタイを緩めた。
「そこまで、とって食うつもりじゃないよ」
誠史は苦笑いして、ネクタイをローテーブルに放り投げる。再び綾真の頭に手を触れ、髪
の毛をゆっくり撫でた。
その手は頬を伝い、唇をかすめる。上あごを持ち上げるとできるだけ優しくキスをした。
綾真はそのキスを素直に受け止め、自ら口を開いて誠史を迎えた。誠史の舌と絡ませ、誠史
の首に手を回す。綾真の中では羞恥と欲望が戦っているみたいだ。誠史はそれを察知して、
唇を離すと甘いオーラを全開にして言った。
「もっと、乱れるとこ見たい」
返す言葉が見つからない。今まで聞かされたこともない言葉を次々と投げかけられて、綾真
はくすぐったくてたまらなかった。泣き笑いのような顔で誠史を見上げると、誠史はちゅっ
と音を立てて唇を吸った。
「好きな子をいじめたくなるのって男の永遠のテーマなんだなあ……」
誠史は一人で納得すると綾真の下着へと手を伸ばした。
「ああっ!」
無防備だったそこをいきなり掴まれて、綾真は身体を揺らした。誠史は下着の上から既に
固くなっているペニスに触れ、ゆるりと上下させた。
綾真のペニスは更に硬度をまして下着越しにでもはっきりと形がわかるほど膨らんでいた。
誠史は先っぽを指でぐりぐりと押す。
「ちょっと、誠史、さん、んんっ」
綾真が誠史の胸を押しのかそうと抵抗するが、誠史は構うことなく、ペニスを刺激した。
下着の上にぽつりと小さなシミが浮かぶ。
「おもらししちゃったね」
「……!」
耳の先まで熱くて痛くなる。綾真が恥ずかしいと思うほど身体の感覚は敏感になり、誠史
の触れる指に反応した。
下着に出来たシミは広がりを見せ、誠史がペニスを上下させるたび、下着と擦れて不快に
なった。
「気持ち悪いから脱いじゃおう」
誠史は綾真の表情だけでそう決めて、勝手に下着をずり下ろした。自分だけ全裸の格好に
させられて、綾真はまた身体を丸めた。
「今更、そんなに恥ずかしがることないのに」
「俺、一人、丸裸にされてるんですよ!」
「ああ、俺にも脱げと」
「そういうわけじゃ……」
自分の言うことが矛盾だらけになりそうで、綾真はそれ以上言えなかった。恥ずかしいけど
先が見たい。先が見たいけれど、自分を見失ってしまうのが怖い。怖いけれど、恋人として
のつながりがほしい。ぐるぐる回る感情に胸を締め付けれらる。
一人で迷宮に迷い込んでしまいそうな勢いの綾真を、誠史は現実へと引き戻した。
露わになったペニスに手を寄せ、ゆるゆるとこすり始める。
「もう、色々考えるの止めなさいって。ね?気持ちいいことだけ感じて?」
「ああっ……誠史、さん!」
誠史の手に力が入った。先ほどよりも強く早く動き始め、ダイレクトに快楽がやってきた。
腰を引いて逃げようとする綾真を押さえつけ、誠史は綾真の胸の上でぷくりと膨れっぱなし
の突起物を舌で弾いた。
ぴくんと身体が魚のように跳ねる。誠史の舌はそのまま下へと降りてゆき、へその下をきつく
吸った。
「んっ、痛っ……」
誠史が唇を離すと真っ赤な痣ができ、誠史は満足満足気にもう一度そこに口を付けた。その
間にも誠史は綾真のペニスに絶えず刺激を与え、ペニスの先からは蜜が溢れ出していた。
誠史が溢れた水滴を指先で捏ねてゆっくりとペニスから離すと、透明な糸が伸びる。そこに
誠史が顔を近づけた。
「誠史さん……まって……俺、俺……」
誠史のしようとしていることを理解して、綾真は誠史の頭を引っ張った。
フェラチオくらい経験あるでしょ、と言おうと誠史は思ったが、綾真にとっては今までの
経験は関係ないのだと思い直した。相手が男なら躊躇うのも当然だろう。
誠史は掴まれていた髪の毛に手を伸ばし、やんわりと綾真の手を外した。左手で綾真の手
を握り、指先に何度もキスをする。
「大丈夫、綾真君の気持ちいいことするだけだから」
「だって……誠史さん、そんなこと……」
「恋人同士なのに、愛し合ったらおかしい?」
「愛しっ……」
甘い言葉に頬が赤くなる。その表情に誠史は優しく笑った。それからちゅっと音を立てて
唇にキスをすると、真顔になって綾真を見つめた。
「愛してる……だから綾真のココ、愛させて?」
「ああっ」
きゅうっと手でペニスを握られ、その言葉に綾真が痺れている間に、誠史は綾真の下半身
へと顔を戻した。そして抵抗される前にぱくりと綾真のペニスを口に咥えた。
「ん……ああっ!!」
綾真の反応が更にあがる。口の中で綾真のペニスがまた固くなった。先端に舌を這わせ、
蜜を掻き出す。割れ目に舌が張り付き弾かれると、綾真は腰をくねらせた。
誠史はさんざん先端を弄りまわし、筋裏を伝って付け根まで舌を這わせた。ぶるぶると腰
や身体を震わせながら快楽を受け入れていく綾真に満足して、誠史は更に強い刺激を与え
始めた。指でしごきながらペニスの付け根を舌先で強く押す。そして更に舌が深いところへ
降りていくと、珠を口の中に吸い込み転がした。
「あ、あっ……それ……だ、め……」
飴を転がすように口の中で弄び、軽く引っ張りながら口から放出する。綾真が息を付く暇
を与えず、もう一方も口に入れ、誠史はその感触を楽しんだ。
綾真は腰から下が別人に操られているような気がした。快楽が暴走して止められなくなって
いる。自制がまったく効かず一度暴れだした身体は次々と快感を欲した。
首を振って気持ちを抑えようとするが、誠史に笑われた。
「君の理性は、根性あるね」
「だって……」
「そんなものはさっさと手放してしまいなさい」
誠史は容赦なくペニスにかぶりつくと、右手で扱きながら、口で吸引した。ちろちろと
当たる舌の先が綾真の最前線の砦を徐々に壊していく。一度亀裂が入った壁は落ちるまで
早かった。
「あの……誠史さん、もう……出そう」
目を真っ赤にして我慢する姿に誠史は胸を躍らせた。その瞳を追って「いいよ」と合図を
送った。いいよ、イっても。俺が出してあげるから。瞳がそう語っている。綾真は自分を
縛っていたプライドを手放した。
誠史の手が先ほどよりも早いスピードを出して綾真を急き立てた。舌先が筋裏にくっついた
途端、綾真の身体に力が篭った。口の中で更にペニスが膨れる。
「ああ、あぁ……もう、い、く……んん!」
綾真の手が誠史の頭を思いっきり掴んだ。その1、2秒に誠史の口の中に勢い良く精子が
飛び込んでくる。独特の苦さと青さが口いっぱいに広がっていき、飲み込もうか迷って
いるところに、綾真は身体半分起こし、テーブルのティッシュを押し付けた。
「ぜったい飲んだらダメです!」
息も整わないうちに綾真は誠史に忠告した。
慌てふためく綾真の姿に、誠史はティッシュで口を抑える前に思わず吹き出してしまった。
綾真の精液が飛び散って綾真の腹を汚す。逆に卑猥だなんて暢気なことを思って誠史は口を拭いた。
「うわぁっ……!」
「そんな大袈裟にならなくてもいいのに」
「だって……止めないと、飲んじゃいそうだったから……」
「迷ってたかな」
「ダメです!そんなの飲んだら、人間として大事なものを失ってしまいます!!」
「何それ」
誠史が笑いながら口の周りを丁寧に拭き取り、綾真の腹の上に飛び散った残骸を拭い取ろう
として手を止めた。人差し指をお腹へやると、水滴を引き伸ばして円を描く。
「ちょっと!何やってるんですか」
綾真は腕の力が抜けてソファに沈んだ。くすぐったそうに身体をねじるとお腹の上の精液
が揺れる。綾真は誠史からテッシュを奪い取ると自分のお腹の上の精液を綺麗にした。
「もったいない」
「何が?」
「もうちょっと遊べたのに」
「誠史さん!?」
「なあに?」
「……俺、誠史さんのこと全然わかってなかったってことがよくわかりました」
綾真の小言にも誠史は気にすることなく、ベタベタになった綾真の腹を見て言った。
「汚れちゃったね。お風呂入る?」
「……」
自分のペースで話を作っていく強引さに綾真は苦笑いになった。きっとこの関係はずっと
このまんまなのだろう。
綾真が返事に困っていると、誠史は綾真の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
「大丈夫、覗かないから」
前にもそんなことを言われた気がする。あの時はまだ好きだと自覚もしていなくて、誠史
のくれる愛情にただただ戸惑っていた。つい最近の話なのに随分昔のように感じる。好き
を実感してしまうと、こんなにも世界が変わって見えるのかと綾真は自分の立場に驚きを
隠せない。でも、それは居心地のいい場所であることも確かだ。
綾真がなおも黙っているので、誠史はにやっと笑って覗き込んできた。
「なんなら一緒に入る?」
「……いいですよ」
「綾真君?!」
予想外の答えに誠史が目を見開いた。綾真は誠史の首に手を回し、ちゅっと軽い音を立てて
誠史の唇にキスをした。
「お風呂、いいですよ」
「男前の君に胸を打ち抜かれそうだ」
誠史は綾真の首筋に顔を埋めて言った。





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